既存政党は無党派層の行動は投票日の三日前にならなければ分からない等と言って思考停止に陥ってしまっています。確かに投票直前まで何か突発的な事が起きないか見守る傾向はあると思いますが、だからと言って投票基準が定まっていない訳ではないのにそこを分かろうとしません。
麻生政権が誕生してしばらくした頃からマスコミが政権交代を促すような報道を始め一時的に民主党に風が吹きましたが、その直前までの地方選では政党色の薄い候補が勝つケースが多く、2009年を除いて見れば既存政党離れが続いていると考えることも出来ます。理由は幾つかあると思いますが、一つには政党が無党派層の投票基準を分析しようとしない事が挙げられるでしょう。
政党が無党派層の考えを理解出来ないのはマスコミにも原因があります。大多数の政治家が世論だと思っているのはマスコミの願望と地元の後援会の声です。しかし普通の日本人は政治家の後援会になんて入ろうとしないし、何より後援会で無党派層の意見が聞ける筈がありません。一方日本のマスコミは自分達の意向を世論とすり代えることで影響力を行使しようとします。本当に世論を吸い上げていたら単なる国民の代弁者になってしまう。こうして既存政党と既存マスコミは国民そっちのけで二人だけの世界を作り上げ、一般の日本人の社会から遊離した存在となっています。特に最近はマスコミ数社が生き残りを懸けて世論操作の力を与党に誇示しようとしており、与党はその世論操作の結果を見て物事を判断するというおかしな状況も生まれています。また、現与党の執行部は選挙の結果を虚心坦懐に受け止めたがりませんが同時にマスコミによる選挙結果の分析も極めて恣意的であるため有権者は選挙を通じて意思表示をする事が難しくなっています。
良い事かどうかは置くとして、今後無党派層・若者の間で反韓は広がって行くと思います。ここ数年の韓国のブランド戦略は完全に裏目に出つつあり、場合によっては爆発的な反動が出る事も有り得ます。その人の投票行動において政党と韓国との距離というテーマが優先されるとは限りませんが、一度反韓になった人物はまず親韓には戻らないので選挙に影響を与える潜在的要因としては重みを増す一方です。
問題はこれを政党が正しく評価できるかどうかです。上に書いたような事から、仮に日本人の大半が反韓になったとしてもそれが政党の行動には反映されるとは限りません。一部のマスコミはネット上で韓国や自分の新聞社を叩く人々をネトウヨ等と呼び、その大多数は底辺の若者達だという願望に基いた構図を半ば本気で信じているようです。政党もマスコミのこうした捉え方にある程度影響され、日韓の関係が選挙に与える影響を過小評価し続ける可能性があります。明確に保守を掲げる小政党が議席を伸ばしそうな気配は無いですが、親韓政策を採る政党が選挙で票を落とす傾向がこの先更に強まって行くのは間違いないと思えます。しかしそれを避ける為に党の方針が見直される事は無いし、選挙の結果が正しく総括される事も無いでしょう。