先日の安重根の親筆の話題で前後してしまいましたが安重根の仲間について少し触れたいと思います。その前にこれまで書いたことをまとめておきます。
安重根はハルビン駅のホームで閲兵する伊藤博文に近付き銃撃しました。
同時に、ホームを覆う駅舎の2階から構内下方を狙う形で伊藤博文を狙撃した人物がいました。
カービン銃の狙撃手は閲兵が始まるまで狙撃場所を確保し続け、移動している伊藤博文に安重根の行動に合わせて狙撃を行っています。間違いなく見張り等狙撃手を近くでサポートした人間と連絡係がいた筈です。
安重根は「愚かなテロリスト」とされますが、現場の実行犯グループだけでも5-6人はいたと思われるこの暗殺計画に関与した人々が全員一様に愚かだったとは思えません。首謀者が、伊藤博文がどういうスタンスの人物か調べもしないで大掛かりなプランを立てたと考えるのも不自然です。要人の暗殺を成功させ、最初から捕まる予定だった安重根以外の全ての部下の逃走を成功させているのだから計画の立案者は極めて優秀な人物です。しかも、狙撃手がいたことは知られていたのに韓国では安重根だけが注目される流れが作られたということは相当な影響力を韓国国内に持つ勢力が背後にいた可能性があります。
伊藤博文の暗殺を計画したのは、支配者層の中の親日(日本に好意的という意味ではない)派だったと考えています。この時点で日本による半島の支配強化は既定路線であり、それに抗うことは出来ないと知っていた既得権益者の関心事は支配の形態に移っていた筈です。最低ランクの属国の主という身分に甘んじてきた半島の支配者層にとって重要なのは独立などではなく日本からの富の流入であり、日本の軍閥が目指す半島の植民地化とそれに伴うインフラ整備はむしろ望ましいことでした。身分制度崩壊の予感の中で、日本との関係を利用して実業界の支配者に成り替わることを画策していた特権階級の人々にしてみれば、半島への投資に消極的だった伊藤博文が影響力を持ち続けるかどうかは死活問題だったと考えられます。結果的にこの暗殺事件は、愚かな抗日活動家による事件にしてしまうことまで含めて全て彼らの思惑通りに進みました。
暗殺に赴く安重根を見送ったのは、安重根と志しを同じくする「同志」ではありませんでした。実行犯グループのメンバーが抗日活動家の集団に入り込んで暗殺を持ちかけた可能性もありますが、抗日活動としては矛盾のある計画ですからそうした集団全体を安重根同様に誑かせるとは期待出来なかった筈です。安重根は人物の特殊性から立案者に見出され、暗殺者役として引き抜かれたのだと思います。
襲撃直前、安重根はハルビン駅の構内が見渡せる喫茶店で待機していたということです(恐らく入り口の左の一角。その向こうに駅舎がホームに沿って左右に伸びている)。ここで実行犯グループは安重根の決意が変わらないことを見届け、彼が出て行くとその背後で2階の仲間に合図を送ったのだと思います。これについて安重根がどう証言しているかは知りませんが、安重根は狙撃手が配置されていることは知っていたと思えます。何かのきっかけで捕まった安重根が騙された・裏切られたと感じると「同志」について語り始める恐れがあります。安重根は「俺達が必ず伊藤を殺すからお前は祖国の英雄になれ」などという言葉を聞かされ、狙撃手を含む実行犯グループが逃走することについては納得した上で表向きの暗殺者役を演じたものと考えています。
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